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すこやか 第1面 医療制度改革関連法が成立
懸念される高齢者医療制度の今後
6月14日に医療制度改革関連法が成立しました。生活習慣病対策や入院日数の短縮などの医療費適正化策を初め、新たな高齢者医療制度の創設など、将来にわたって安定して国民皆保険を維持していくことを目指したものです。健保連は、今回の改革関連法の成立を改革実現に向けた一歩として評価しますが、まだまだ多くの課題が残っていると言わざるを得ません。
新たな高齢者医療制度は、平成20年度に75歳以上の高齢者を対象とする後期高齢者医療制度を創設し、65~74歳の前期高齢者は、各医療保険者間で財政調整することとしています。しかし、この財政調整という考え方は、保険者の医療費適正化へのインセンティブが働きにくいという面からも問題が大きいものなのです。さらに、法の成立に先立ち厚生労働省が明らかにした試算では、改革実施後の2008年度(平成20年度)、健保組合が高齢者を支援するための負担はあわせて2・4兆円にも上り、保険料収入の45%を占めるという、健保組合、そして現役世代にとっては非常に厳しい見通しでした。
一方、このほど発表された「平成18年版・高齢社会白書」によると、65歳以上の高齢者人口が過去最高の2560万人、総人口に占める割合(高齢化率)は20・04%と、初めて2割を超えました。また、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)は1・25と過去最低を更新しました(2005年「人口動態統計の概況」より)。人口の高齢化は確実に進み、将来の支え手は減り続けています。
だれでも、いつでも、どこでも、安心して医療が受けられる環境は、将来にわたって確保していかなければなりません。そのためにも、現役世代も納得して支えることのできる制度が求められています。今回の改革を次なる改革につなげていくよう、私たちは、医療にもっと目を向けていく必要があります。
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